3.21 一般口演 B

学校での動物飼育を教育活動の視点で見る -N小学校の場合-

西 勝海1)     竹内一男2)

1)厚木市立南毛利小学校 2)玉川大学教育学部


 学校5日制の始まり、夏休みなど長期休暇中の教師の勤務体制の変化などから、長期かつ連日の世話が必要な
動植物は厄介者扱いされ、教材ではあるが必要度や価値が軽視され、今や学校での存在が問われている。子ども時代から少年時代を過ごす小学校生活は、学びの場であると共に、人格形成の始まる重要な時期である。動物飼育は情操教育だけでなく、教科教育やその他の教育でも活用価値が高いという視点で見る必要がある。

1. 特別活動の題材として
 学校教育の特別活動は、協力や個性発揮などの社会性を培い、意欲などの自主的な行動を養うために、団体生活の学校として必要且つ必然的な活動である。多くの小学校では、児童会を組織し、役割分担として委員会活動を編成している。本校も飼育委員会を組織して27人の児童に7羽のウサギの飼育を担当してもらっている。

2. 教科(理科、生活科、道徳)の指導視点から
 理科教材として、生命の仕組みや生物全般から人間の位置を考えるなど、身近な教材であろう。 生活科では具体的な活動や体験を通して、自分と身近な人々、社会及び自然との関わりに関心を持ち、自分自身や自分の生活を考えさせ、その過程で生活上必要な習慣や技能を身につけさせ、自立への基礎を養う。
 道徳教育では学校教育全体を通して道徳的な心情、判断力、実践意欲と態度などを養うことの他に、道徳の時間には、計画的に発展的に各教科や特別活動及び総合的な学習の時間などと密接な関連を計りながら、補充、深化、統合し、道徳的価値の自覚を深め、道徳的実践力を育成する。

3. 本校での実践実態について
  (1)担当教師の具体的な仕事  毎年度、飼育委員会担当の教員は教員全体の相談で主・副が決められる。このことは本校全体で見た場合、教員の資質向上、教員間の和のうえから考え好ましいことであると言える。担当教員は児童の指導が中心であるが、その指導をスムーズに進めるために、年間計画、予算獲得、餌・物品調達や管理、またそのための打ち合わせ、保護者・地域の方々(含む獣医師)の協力の取り付けと依頼打ち合わせ。その他に生き物であるが故の病気や不慮の事故への気遣いと一日も手抜きはできない。
現在飼育中のウサギは避妊用外科手術が施されている。

 (2)児童の飼育委員   5,6年生で構成されていて、27人が月?日曜日までを当番を組んで世話をしている。
希望して飼育委員になったのは27人中18人であった。

  1)24人に楽しいと思っていることを聞いてみると、次のようであった。
ウサギがなついてくれた。2人   世話が出来た。世話の仕方がわかった。  だっこできるようになった。
小屋に入れた。          キャベツあげるのが楽しい。       ウサギとふれあうこと。
かわいい。            餌(リンゴの皮を)やるとそばにくる。2人
食べ物のことがわかった。     餌をおいしそうに食べるとかわいいし、うれしい。
しかし楽しいと思っていることがあるのは24人中11人であった。

  2)飼育委員になってよかったと思うことは
ウサギとふれあう機会がふえた。4人    触れる。4人            世話が出来る。6人
餌をあげられる。2人           餌を食べてかわいい。2人      調子がすぐにわかる。

  3)困っていることは
当番で来ない人がいる。       餌をばらばらにする。           小屋が臭い。      
友達と遊べない。          すぐに噛む。               糞の片づけが大変
餌をあげる人が多すぎる。                           糞を踏みそうになる。
掃除中に悪戯で小屋に鍵をかけられる。

1).2)からもっと積極的をウサギに触り、常に新しい何かを見つける態度で世話に当たる指導が必要と考える。
3)から困っていることの多くは世話をする仲間や世話の作業のことであり児童と先生で解決できる。各学校が
動物飼育に関する問題を抱え込まず地域や近隣の学校と情報を交換することで解決出来る面も多いと考える。


2003 HARs 学術大会
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