3.21 一般口演 @

専門学校の授業で動物を展示したことによる効果

中川亜耶人 小山田和美  金井美樹  小林香織

なかよし生き物倶楽部「プチZOO」 岐阜県


[はじめに]
 動物(イヌ・ウサギ・ニワトリ等)を教室内に展示した場合に、授業の進行にどのような影響が見いだされるかを調べるため私達は、福祉専門学校の教室内に動物を持ち込み授業(90分)を行った。学生には何も伝えず、授業終了後に毎回アンケート用紙を渡し、授業への集中度を調査しまとめた。尚、講師の講義内容(アニマルセラピー概論と実践)の良し悪しは除外した。

[方法]
 社会福祉法人青山里会(三重県)四日市福祉専門学校介護福祉学科1年の学生41名(男15名・女26名)を対象とし、平成14年4月11日〜平成14年7月4日までの間、計10回の授業に動物を持ち込み調査を行った(出席率:平均97,7%)。展示する動物は、毎回違う種とし、種類や頭数は無作為に選択した。また、動物の展示方法は、教室の黒板の前にサークルを組み展示・鳥ケージでの展示・及びイヌ(ゴールデンレトリーバー:♂11才)は、教室内を自由に歩かせた。毎回、授業終了後に5段階で集中度を調査するアンケート用紙を配布しチェックをしてもらった後、展示動物の観察やふれあいを実施した。また、最終日には、他の講師の授業と比較して感想を書かせた。

[結果]
 毎回授業終了後に行ったアンケートを基にし、学生の授業への集中度をまとめた。全10回を通して、@「授業に集中できた」「普通だった」と回答した学生は85%、A「集中できなかった」15%と概ね集中して授業に参加できていた事が解った。
授業最終日に行った授業への感想からも、「動物が居たほうが良い」27名、「居ないほうが良い」0名、「動物の記載なし」8名と動物の存在を良いとする意見が多かった。その理由として、
* 毎回違う動物がくるので(授業が)楽しみ。
* 沢山の動物を真近で見られて良い。
* 「癒されている」と言う気持ちになる。等が多く挙げられた。
 展示した動物毎に集中度を比較すると、集中して授業を受けられた学生は、出席学生数の約半数にあたる40%以上も居り、中でもイヌを展示した回は、41名中36名(88%)が授業に集中できたという結果が得られた。

[考察]
 普段の授業は、座ったまま黒板の字を写し聴講する事が多いが、今回のように教室内に動物を展示し授業を行うと、動物の存在が学生への刺激となって動物の動きや鳴き声が影響して普段有りがちな授業への退屈・飽きが忘れられ集中することができ、楽しさを感じて授業に望んでいる学生が4割を超えて居る事が解った。その理由として、教室の中で実物の動物を見たり触れたりしたことが挙げられる。今回は、展示する動物を無作為に選んだことで、毎回違う動物が学生に刺激を与えることになった。次回は、展示の仕方・動物の種類を固定し調査していく方針である。


2003 HARs 学術大会
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