3.25/26 ポスター I

騒音ストレスにおける犬の唾液中カテコールアミンの解析
−血中カテコールアミンとの相関について−

半田 麻衣子,太田 光明
Handa Maiko, Ohta Mitsuaki

麻布大学 動物人間関係学研究室・神奈川県


 近年イヌとヒトの関係は親密になり、犬の存在は人への精神的効果をもたらすなど、人の健康に果たす犬の役割は大きくなってきた。そして人間社会で犬が多目的に活躍するようになったと同時に、種々に合わせたイヌ側の心身的な影響を測る研究も多くなり、その生理学的指標として尿中カテコールアミン(CA)や唾液中コルチゾルが、容易かつ動物福祉の観点から多く利用されている。しかし唾液中コルチゾルでは血中との相関が認められているが、尿中CAは血中CAを直接的に反映するものではなく、血中CAと相関性のある代替法は現在確立されていない。このことから今後新たに血中CAの福祉的な採取が可能となる代替法を見出すことは、必要かつ有効であると思われる。
 そこで本研究では、コルチゾルと同様に唾液からの検出が可能である唾液中CAに注目し、急性反応の指標として有効である血中CAと、唾液中CAの相関をみることで、唾液中CAが血中CAの代替となる新たな指標として有効であるかについて検討した。実験ではストレス負荷として騒音刺激を用い、その負荷中と負荷後の唾液中CAと血中CAの測定を行なった。
 その結果、唾液中NAとAはそれぞれ血中NAとAと相関性を示し、唾液中CAがストレス反応の指標として有効であることが示唆された。また音刺激を与えると同時に、拘束もストレスに近い状況だったことが、血中CAだけではなく唾液中CAの変化でも明らかであった。また唾液中NAのうち一部のNAは、交感神経刺激により唾液腺中に貯蔵されていたNAであることが考えられ、唾液中NAがリアルタイムの血中NAだけを反映していないと推察された。しかし神経活性により唾液中NAの分泌が増加し、全体として唾液中NAの増加を引き起こすため、血液と同様に刺激に対する反応の結果として、とらえやすいものであると考えられた。

2006 HARs 12th. 学術大会
演題一覧
前演者の抄録  •  次演者の抄録