子どもと犬の接し方
〜子どもの咬傷事故予防教育コンピューターアニメ
「The Blue Dog」を用いた研究〜
岡田香代子
Okada Kayoko
帝京科学大学理工学部アニマルサイエンス学科・山梨県
(序論)
近年、子どもが動物、特に犬とふれあう機会が増えている。動物とふれあうことによって、命の大切さなど子どもに伝えることができるというメリットがある一方、犬に咬まれるという事故も増えている。そこで、子どもが正しい犬の接し方を知っているのかを調査し、また、咬傷事故予防コンピューターアニメ「The
Blue Dog」を使用し、子どもに咬傷事故予防の効果が得られるか実験を行った。「The Blue Dog」とは、子どもに対する犬の咬傷事故を予防するために作られたコンピューターアニメである。ベルギーのTiny
De Keuster氏が監修し、2004年グラスゴーで行われた、IAHAIO(人と動物の相互作用に関する国際会議)のスペシャルセッションで発表された。
(方法)
5歳程度の子供が咬傷事故に巻き込まれやすいことと、6歳以下の子供に対して作られたアニメであることから、対象者は、5〜6歳の子ども、20名を選び、そのうち、10名は犬所有者で、他10名は非所有者とした。The
Blue Dogのゲーム前と後でアンケート調査を行った。アンケート内容は、咬傷事故につながる、犬が食事をしているとき、犬がおもちゃで遊んでいるとき、犬が眠っているときについて、クイズ形式にし、3択問題で構成した。
(結果)
事前アンケートでは、全体的に犬を飼っているグループは、飼っていないグループに比べ正答率が高いということがわかった。また、どちらのグループも食事、遊び、睡眠の順に、正答率が下がっている。そして、特に遊び、睡眠に関して、飼育していないグループは、非常に低い正答率だが、飼育しているグループでも高いとは言えない。事後アンケートでは、両グループとも、全問正解であった。
(考察)
犬を飼っている子供は、親からの教育、子供の実体験から、正しい接し方を知っているが、一方、飼っていない子供は、犬と接する機会が少ないことから、親や周りの人から教わることは少なく、実体験から学ぶことは出来ないので、正しい接し方を学びにくい。The
Blue Dogの効果は明らかにあり、正しい接し方を理解することができた。しかし、親や周りの人からアニメについて説明があったことから、必ずしもThe
Blue Dogのみに効果があるとはいえない。今後、The Blue Dogを使用し、子どもの咬傷事故予防教育に役立てるために、親や学校が簡単に入手できるようにすること、また、「The
Blue Dog」のさらなる効果測定や、よりわかりやすいアニメーションの工夫・改善をすること、さらに、今盛んに行われている、生きた動物を使った介在教育に「The
Blue Dog」を、ジョイントさせ、生きた動物では再現できない場面を、アニメで表現することにより、より効果的に犬咬傷事故予防教育につながることが期待できる。
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