3.25 一般口演 C

馬が引き出す広汎性発達障害児への療育的効果

慶野宏臣1)、井原一郎2)、川喜田健司3)、慶野裕美4)
Keino Hiroomi Ihara Ichirou Kawakita Kenji Keino Hiromi

1);NPO 法人篠木・レモンクラブ・愛知県 2);野間馬ハイランド・愛媛県
3);明治鍼灸大学、生理・京都府 4);愛知県心身障害者コロニー、発達障害研究所・愛知県


 乗馬など馬が介在する活動はさまざまな強い個性を持つ広汎性発達障害の子に受け入れられ易く、継続して活動に参加する子の多くは行動や感情の変化を起こしている。我々はこのような変化を記録できる尺度(HEIM scale)を本学会にて提案し「2000年」その信頼性を検討した「2002、2004 年」。そして、広汎性発達障害の子たちが乗馬活動に参加するとHEIM scale の得点(HEIM score)が上昇することを紹介し てきた「2005 年」。今年はより高いHEIM scoreの上昇をもたらす乗馬活動プログラムを検討した。
利用した馬は木曽馬、野間馬そしてハフリンガーである。レモンクラブおよび野間馬ハイランドで乗馬活動に参加した22名の広汎性発達障害児を対象とした。子どもたちの年齢は3歳から13 歳、乗馬期間 は6ヶ月から5年、乗馬頻度は毎週1回または毎月1回、参加形態はグループ活動と個人活動とさまざまである。活動は一人一人の個性に合わせたプログラムを立てながら実施した。
類似した内容を含むプログラムの事例数は少なくなるので断定的な結果は導かれないが、HEIM scoreの上昇率を高める要因として以下の3つがあると推測された。
1)乗馬活動への参加頻度の高さ;週1回の参加者たちのHEIM score上昇率は月1回参加者たちの平均上昇率より高い傾向を示した。また、
月1回参加していた子が毎週参加するようになるとHEIM score上昇率が高くなった。
2)ゲーム的要素を含むプログラムの実施;馬に乗ることだけのプログラムでは活動を開始した当初はHEIM scoreが上昇するがやがて停滞する傾向がある。乗馬しながらゲーム的要素を含むプログラムを実施すると、子は毎回の活動に満足して帰宅し次回の参加を楽しみにして訪れるようになる。同時にHEIM scoreも長期間にわたって(5年間の連続記録を含む)上昇続けるようになった。
3)一人一人の個性と興味に適合したプログラムの実施;活動の対象とする子へは適合すると思われるプログラムをいくつか考案しながら試行している。実行したプログラムが個性と興味に適合すると、子は急激に集中力が増し積極的に活動するようになる。するとプログラムに込められた療育的効果が現れHEIM score が上昇した。
HEIM scoreを使うことで乗馬活動の効果が分析しやすくなり、子どもたちにより適した活動プログラムを作り出せるようになった。活動プログラムのより明確な分析が可能となるよう、多くの障害者乗馬グループでHEIM scoreが利用されることを期待する。

 

2006 HARs 12th. 学術大会
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