3.19/20 ポスター P

動物を活用した
小学校訪問ふれあい活動プログラムの開発と実践

 

横井恵 小檜山祐介 村木佑実 溝端真也 花園美樹 田邉かえで 花園誠
Megumi Yokoi, Yusuke Kobiyama, Yumi Muraki, Shinya Mizobata,
Miki Hanazono, Kaede Tanabe, Makoto Hanazono


(
帝京科学大学 理工学部 アニマルサイエンス学科 山梨県)


【緒言】
  いのちを実感させる教育には、生きた動物との「ふれあい」が必要不可欠と考えられている。しかし、小学校の中には、様々な事情により動物を飼育できない・もしくはしない所があり、その数は増加傾向にあるという。このような小学校の動向に対応すべく、我々のグループでは何らかの理由で動物飼育を止めた小学校のための「訪問ふれあい活動プログラム (以下プログラムと略記)」の開発と実践に取り組んでいる。訪問活動の場合、人的・時間的・経費的制約から活動回数は自ずと制限されるので、限られた機会を有効活用するためにも効果的なプログラムの開発は急務である。そこで我々は色々な動物についてその良さを十全に活用するためのプログラム開発に取り組んでいる。本報告では、我々が開発した小動物 (ハムスター・マウス・スナネズミ)・中動物 (犬)・大動物 (ポニー) を用いたプログラムの詳細とその実践結果についての考察を述べたい。

【材料と方法】
  対象学童は町立甲東小学校と和見分校の1・2・3年生あわせて37名、そして町立上野原小学校の2年生・3学級101名である。小学校の教諭と事前に打ち合わせを行い、以下のプログラムを実践した。
小動物 テーマ(1)「ハムスター・マウスとのふれあい」。動物は、ハムスター・マウス・スナネズミを使用。スナネズミは観察させるだけとし、他は1種当たり10分間のふれあいを計3回行った。
テーマ(2)「ハムスター・マウスの観察」。学童に3種通りの観察の視点を与え、動物の「形態」・「行動」・「能力」について学んでもらう趣旨で実施した。 
テーマ(3)「ハムスターのお家づくり」。学童に飼育ケージと色々な小動物用の飼育用具を一そろい与え、動物のための生活空間を創意工夫させる。「動物福祉」について考えてもらうことが趣旨。
中動物 テーマ「犬と運動会」。犬は学生個人が所有しているものを使用。内容は犬との「ふれあい」と「クイズ・リレー・宝さがし」で構成される「わんわん運動会」である。
大動物 テーマ「ポニーの乗馬」。校庭で1人ずつポニーの乗馬を体験してもらった。待ち時間にはフィットネス機器「ジョーバ」の他、クイズ、擬似馬房の掃除体験等のブースを巡回してもらった。
プログラムの効果を判定するため、学童にはプログラムについての体験、もしくは「人・木・家」をテーマとした自由画を描いてもらった。

【結果】
  自由画も含め全ての絵には、笑顔が多く描かれている、配色を施す等、表現の豊かさが共通していた。小動物 (ハムスター) との絵では人と動物とが複数描かれていたが、中動物 (犬) との絵では犬と人がリードで繋がれ1対1で描かれているものがほとんどであった。また、大動物 (ポニー) との絵では人が馬にまたがっている様子のみが専ら描かれている他、景色の描きこみが目立った。
【考察】動物との絵からは、動物のサイズによる児童の意識分配の差が読み取れ興味深い。また自由画の表現が豊かになるなどの変化は、本プログラムにある程度の情操的な教育効果があることを示しているのかもしれない。しかし、本学ボランティア学生の「本心から動物をいたわり・愛する」という終始一貫した態度も学童の情操面に良い影響を与えているに違いない、と我々は強調したい。

 

2005 HARs 11th. 学術大会
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