3.19/20 ポスター L

家庭猫の普及における
キャットショーの役割に関する日米比較−V
日米等各リジョンの出陳頭数の推移

室伏 誠1) 小泉かよ子2)
Makoto MUROFUSHI, Kayoko KOIZUMI

(
1)日本大学短期大学部、静岡県 2)CFAジャパンリジョンディレクター、神奈川県)


 第9回、10回学術大会において、世界最大の愛猫協会であるCFA(The Cat Fanciers’ Association, Inc.)を中心に、キャットショーの成り立ち、目的、さらにショー出陳者の参加動機について日米を比較しながら示した。世界中には他にも多くの愛猫協会があるが、キャットショーを行う主たる目的は、愛猫協会が掲げるところの、「公認品種の振興と改良」、「血統登録と血統管理」に主眼が置かれてはいるものの、ひいてはさらにハウスホールドペット(家庭猫)を含めた「すべての猫の幸福」を目的としている点で共通しているといえよう。事実、主要な愛猫協会では、猫のための学術的あるいは普及・福祉活動に対して研究費や援助金を捻出しており、大きな成果を得ている。これら費用の大半は、愛猫協会に加盟するキャッテリー(個人)やクラブ(団体)からの会費や登録料、キャットショー開催のための経費や寄付金、さらには関係機関等からの補助金がその財源となっている。言い換えると、上記活動は、加盟する個人や団体の動向に大きく左右されるものである。そこで、第V報ではその一つの指標として、キャットショーに参加する猫の数の推移について、過去にさかのぼって調査することにした。
 CFAでは、キャットショーに参加するカテゴリーを、キツン(K)(子猫:生後4ヶ月から8ヶ月未満)、チャンピオンシップ(CHship)(成猫:生後8ヶ月以上)、プレミアシップ(PRship)(成猫:生後8ヶ月以上の去勢・避妊猫)、ベテランクラス(B)(生後7歳以上)、ハウスホールドペット(HHP)(生後8ヶ月以上の去勢避妊した全ての猫)の5つとしている。HHPクラスをのぞいて、各クラスは、ロングヘアー(長毛)とショートヘアー(短毛)、さらに各公認猫種(ブリード)に区分けされる。HHPは長毛・短毛全ての猫を1つのクラスとしている。キャットショー自体は、審査員(ジャッジ)により、上記5つのカテゴリーで各猫の優秀さを競うものである。このうちキツンやチャンピオンシップは、将来の繁殖を目的とする優秀な猫を作出する手だてとなるが、他のカテゴリーでは、そのほとんどが繁殖をすることのない猫であり、個体の優秀さを競う点に重点が置かれている。この点は、HHPでも同様であり、品種や雑種に関係なく、猫としての資質そのものが、審査の対象となる。
 最近の我が国で開催されるキャットショーでは、1回のショーでおよそ80頭から200頭が出陳される。しかし米国では、100頭から250頭、特に大きいショーでは450頭から1,200頭以上が出陳されている。愛猫家の数と出陳頭数についても分析を加えたい。
今日、犬と同様に生活のパートナーとしての猫の家庭への普及が進んでいる。犬に比べてブリードキャットが占める割合は多くはないが、その割合は年々着実に増加をしている。キャットショーが猫と飼い主の交流の場として健全に認知されていくことを望みた。

 

2005 HARs 11th. 学術大会
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