3.19/20 ポスター E

新しいペット税の提言
―共生関係の実現に向けたペット政策―

福岡今日一
Kyouichi FUKUOKA

(同志社大学大学院 総合政策科学研究科・京都府
)


東新ペット税の提言
 2000(平成12)年4月の「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律(地方分権一括法)」の施行以降、課税自主権の尊重の立場から、従来の法定外普通税に加えて法定外目的税の創設が可能となり、地方自治体の独自の財源確保が注目されている。東京都の銀行税・ホテル税、杉並区のレジ袋税、福井県の核燃料税、三重県等の産業廃棄物処理税などが既に導入される一方で、全国各地の自治体で様々な新税導入が計画されている。
 それら新税に社会問題化している「放置されたペットの排泄物問題(糞害)」対策として、犬や猫などのペット飼育者に課税して応分の負担を求める「ペット税」を求める声が多い。しかし、過去に法定外普通税として課税されていた「ペット税」の原型ともいえる「畜犬税」は、徴税コストに税収が見合わないと廃止された経緯や、また狂犬病予防法で登録を義務付けられている犬を除けば、犬と並ぶペットの代表であるねこでさえ、その飼育数の把握が事実上不可能なことから、その導入には否定的な見解もまた多い。
他方、全国で犬猫だけでも約1800万匹、その他の動物を合わせると膨大なペットが人間と共生しており、今やペット問題は大きな社会問題となっている。1999(平成11)年に改正された動物愛護法では、動物飼養者の意識向上を求めているにもかかわらず、未だに多くのペットが、ペットショップ等から無計画に購入されており、動物虐待や遺棄の温床となっている。
 そこでペット税を、従来からのペットの排泄物処理を含めた道路清掃費用や居住環境整備に充てる目的ではなく、安易な動物購入への負のインセンティブとしての効果と動物愛護に充てることを目的する法定外目的税と位置付け、「公正、中立、簡素」という税の基本命題を踏まえて新ペット税の制度設計を試みた。

3つの新ペット税
 新ペット税は、従来のようにペットの保有に担税力を見出すのではなく、ペットに対する支出に担税力があるとして、ペット、ペットフード、ペット用品といった財や、ペット美容、しつけ訓練、ペットホテル(保管)、展示、貸出などのサービスの提供を課税対象とする税(動物取扱業税)、糞尿放置による糞害や地球温暖化ガスの観点からペットフードの消費を課税対象とする税(ペットフード税)、そしてペットの商品としての価値を著しく高める血統書を課税文書とする税(血統書税)の3つの新税の導入を提言したい。


2005 HARs 11th. 学術大会
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