3.20 一般口演 K

猫は犬より働いた!?

須磨 章
Akira SUMA

( NHK放送総局・東京都
)


「怠け者で、何もしないからいいのだ。」と言われている猫。
 いっぽう犬は、盲導犬や警察犬に代表されるように「働き者で、おおいに人々の役にたっている。」という見方が体勢を占めている。
 しかし、本当にそうなのだろうか・・・?
 ネコとヒトとの関わりの歴史をひもときながら、猫の人類への貢献度を測ってみたい。

@ その関わりはいつどのように・・・。
「農業がはじまり穀物を鼠から守るために猫は飼われだした」というのが定説だが、
果たしてそうなのだろうか。
最近の発掘調査では、9500年も前から人類に飼われていた可能性がでてきた。フランスの洞窟画、イスラエルから出土した象牙製の猫の小像などもまじえながら、従来の説を検証する。

A 日本でのペット化のはじまりは・・・。
『源氏物語』では、柏木大納言が光源氏の妻、女三の宮をみそめる大切な場面で猫が登場する。御簾(みす)の中で、貴族の淑女たちに大切に飼われていたのだ。古典にみるネコとヒトの関わり、絵巻物に表れる猫の姿から、「第一次ペットブーム」を猫がもたらしたことを明らかにしていく。

B 鼠退治のお役目は・・・。
「蚕さい中に嫁御に出られ、貰わにゃなるまいとら毛猫」
群馬県で唄われていた、桑つみ唄だ。養蚕の世界で蚕のガードマンとして猫が頼りにされていたことを表している。
 俳句、詩、その他さまざまな文献から、猫が人々のために戦士として闘ってきた実態に迫ってみたい。

C 意外な役立ちかたは・・・。
鹿児島の「猫神神社」に祀られている猫は、豊臣秀吉の朝鮮出兵の際に、陣中時計として同行したと言い伝えられている。
 そのような伝説、中国を旅した神父の紀行文、江戸時代の「猫の目時計図」などをもとに、特殊な瞳がもたらした意外な猫の貢献を探る。

D 現代猫の新職業は・・・。
ロシア人民俳優の称号をもつ、元ピエロのユーリー、ククラチョフが率いる「猫劇場」
その芸は、これが本当に猫なのかと目をみはるものがある。地震予知やアニマルセラピーの現場などからも、秘められた猫の潜在能力をみる。
欧米先進諸国のデータでは、既に飼育数で猫は犬を上まわっている。日本の将来についても予測してみたい。


2005 HARs 11th. 学術大会
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