1) 全体から見て必要な4つの柱。
・ 過去→歴史的に我々がどう動物と触れ合ってきたかの検証。何らかの必然性や理由が見られるはずである。
・ 現在→
(a)データ集め。
学術的なデータで検証していくことにより、浮き彫り(理論化)にする作業。
(b)動物と触れ合っている人の生の声
数値化しにくいが、実際に感じていること。「人馬一体」のような感覚を馬に乗ったことのない者が持っている言葉に置き換える作業。
・ 未来→全ての立場の現場における、地道な活動。
2) これらの分野は細分化して磨き上げることも必要であるが、常に統合的に見る必要があること。
命あるものを相手にしている以上、自らのフィールドだけでなく、他の分野への関心・意見を持たなくてならない。全体の流れの中で自分の分野の存在が許されていることを念頭に入れる。医療への動物の導入を例に取ると、一般人の感覚とのバランスが最も重要。一般の動物のイメージによって活動は左右される。つまり普通のペット飼育、動物の利用、学校教育、動物の法律、常識、愛護など様々な知識や考えが必要になる。
3) 日本という意識
中村禎里によると、「日本は現在に至るまで、動物信仰を維持してきた先進国では唯一の国」である。その特殊な動物観は多かれ少なかれ我々の中に根付いており、それは「いい」とか「悪い」とかという問題ではない。それを変質させるにせよ、そのいいところをもっと伸ばすにせよ、我々の感じ方・考え方を意識しないことには始まらない。またそれを全く無視して「効率」や「多数決」で物事を進めていくことには大きなリスクがある。それらを意識した上での子どもへの教育(一緒に考えること)が重要である。