3.21 シンポジウム第1部
動物愛護・セクターを超えた問題解決のために
−コミュニティでの産学官民協働−

動物愛護・セクターを超えた問題解決のために
−コミュニティでの産学官民協働−



 「人と動物の関係」をとりまく状況の中で、動物にも、家族や社会の一員としての立場が認められつつあることは喜ばしい。だがその一方で、鳴き声・糞害への苦情や、ペットの飼育放棄・遺棄などの問題もコミュニティの中でしばしば取りあげられる。これらの問題に対応するにあたり、地域行政や動物愛護に関わる人々にかかってくる負担が大きいことは、一般にはあまり知られていない。しかし、コミュニティで生じてくる問題を解決するためには、法的・技術的な施策に頼るだけでなく、地域に関わる市民が進んで信頼関係と思いやりの心を共有してゆくことが必要である。人と動物の間で生じる問題の多くが、実は地域における人間関係を反映していることは、市民・行政を問わず、動物愛護に関わる人々からしばしば指摘されてきた。
  コミュニティ内の信頼関係の構築という理念を現実の生活に結びつけてゆくのが、市民と行政を橋渡しする地域の動物愛護推進員やボランティアリーダーであろう。本シンポジウムでは、現場のさまざまな事例報告をもとに個々の問題相互の関係を整理することによって、自分とは異なる立場の参加者とも相互に問題認識をシェアし、包括的な視野で問題を解決してゆくための協議を行うことを目指している。このような「協働」のプロセスこそが、コミュニティの理念を担うすべての市民(産学官民)による公共性創出の場である。問題認識を共有し合い、「人と動物の関係」を「地域社会に根づいた人と人の関係」のレベルから積み上げてゆくことによって、コミュニティによる問題解決への道が開かれることを期待している。


2004 HARs 学術大会
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