3.21/22 ポスター S |
「ネパールにおける狂犬病ワクチン集合注射 井本 史夫 加藤 由子 ヒトと動物の関係学会第8回学術大会において、われわれ(Donative Unit of Rabies Vaccine to Nepal 略称 DURVN:代表 加藤由子 日本名:ネパールに狂犬病ワクチンを送る会)はネパールにおけるペット事情を報告した。 狂犬病が発生している発展途上国においては、ヒトの狂犬病による死亡者のほとんどがイヌからの咬傷の結果である。都市型狂犬病、つまり、都市に徘徊するイヌによる咬傷が主たる原因の狂犬病であるが、インドの北に位置するネパール王国もその例 外ではない。 ネパールでは、毎年約200名が狂犬病により死亡しているが、その数字は病院で治療を受けたもののみである。しかし、実際の死亡者ははるかに多いのではないかと推測されている。推測されているというのは、咬傷に対する治療法が、西洋医学以外にも伝統的な治療法(イヌに咬まれたときのスペシャリスト、悪霊払い、ヒーリング、その他)が存在しているからである。 狂犬病は発症した場合、100%死亡するウイルス感染症である。狂犬病感染の恐れのある動物から人が傷を受けた場合、その人を狂犬病から救う方法は、現在のところでは、数回の狂犬病ワクチンを接種するしかない。しかし、一人当たりの国民総生産が240米ドル(2001年)で国民の半数近くの人が貧困線以下であること、識字率が男性65,4%、女性42,6%であること、地方では病院へのアクセスが著しく不便であることを考慮すると、ネパールにおいては、推測される咬傷事故者(13万〜26万人:国民100人〜200人に1人)に対するワクチン接種の充実はもちろんであるが、イヌに対する予防対策を優先させる法が、より現実的であると考えられる。 今回、われわれは、 National Zoonoses & Food Hygiene Research Centre(NZFHRC:代表 Dr. D. D. Joshi)とともに実施した、2001年12月より2003年5月にかけてのKathmandu Vally を中心とした8地区における狂犬病集合注射について報告する。 接種地区:バクタプール、パネパ、パナゥティ、ドリケル、ティミ、キルトプール、 なお、今回の活動に際して快く狂犬病ワクチンを寄贈していただいたインターベッ ト社(オランダ)およびインターベット・ジャパンに心より深謝する。
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2004 HARs 学術大会 |