3.21/22 ポスター H |
家庭ネコの普及における 室伏 誠(日本短期大学(三島・静岡県) 小泉かよ子(CFAジャパンリジョンディレクター・神奈川県) 第9回学術大会において、愛猫協会が主催・統括するキャットショーについて、日米を比較しながら、主として世界最大の愛猫教会であるCFA(The Cat Fanciers’ Association, Inc.)を例に、その実情の異同について示した。愛猫協会が異なっても、キャットショーを行う主たる目的は、愛猫協会が掲げるところの、「公認品種の振興と改良」、「血統登録と血統管理」に主眼が置かれており、ひいては「すべての猫の幸福」を目的としている点で共通しているといえよう。すなわち、少なくとも、愛猫協会がショーを主催・統括する目的が、ショーに参加する出陳者において理解・認識されている必要がある。一方、ショーに参加する出陳者においては、愛猫協会が定めるルールの下、協会に加盟するクラブが開催するショーに参加(所有する猫を出陳)することで、何らかの満足感や充足感を求めるものと考えられる。そこで、第U報では、キャットショーに参加する出陳者は、どのような動機を持ってキャットショーに参加しているのかを、検証してみたい。 日米におけるキャットショーのシステムは、CFAの場合、日本はCFAの第8リジョンとして承認されており、他のインターナショナルエリアとは異なり、ごく一部のルールや取り扱い上の違いを除き、米国内と同等である。日本リジョンの違いは、米国内に比べて出陳頭数がやや少ない場合があること、米国内の様に他のリジョンに自由に移動して出陳するには地理的および手続き的(検疫など)リスクがあること、さらに、出陳料が米国に比べて日本ではほぼ4倍であることなどをあげられる。これらの違いを認識しつつも、日本において米国内と同じようにキャットショーへの出陳が常時100頭から150頭、場合によっては200頭を越える頭数が出陳されていることは、ショーへ出陳することの魅力が、あることを示すものといえる。その、魅力は、その動機はどこにあるのであろうか。 キャットショーへ参加した出陳者の多くは、自分が所有するの猫のショーでの好成績を期待する。すなわち、自分自身の猫の、審査結果が好成績で、いわゆるファイナルと呼ばれる表彰(日本では多くの場合各クラスの10位までが表彰され、ロゼットなどが授与される)に入ることを期待することである。さらに、回を重ねて出陳をする参加者は、各ショーでの獲得ポイント(アワードポイント)や称号(チャンピオン、やグランドチャンピオン、あるいはプレミアやグランドプレミア)を得るためのポイントの獲得が大きな目的となってくる。ショーのしくみの中で、最も競技性が認められる点であり、審査結果がよいものほど高得点が得られ、その猫の優秀さがポイント(数)として示される。ある意味で、キャットショーに出陳する出陳者のスリルは、審査結果に集約されることになると言えよう。自分自身が考えているその猫の優秀さが、ジャッジの審査によって評価されるところに、ショーの競技性が示される。審査結果は、多くの場合ジャッジごとに違いがあり、そのことが、出陳者の期待感を増し、キャットショーへの参加を促すことになる。終局的に、優秀な猫には、優秀な称号が与えられ、このことは、その後の交配に多大な影響を与えるしくみとしてショーが成立するが、そこに含まれる思惑や期待感などは、人間的な感情を巧みに取り込むようなしくみととることもできよう。
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2004 HARs 学術大会 |