|
|
獣医学教育における代替法教材展示会(2003年度全国獣医大学にて開催)及び獣医学教育における動物の利用に関する意識調査集計結果報告 後藤 江梨子 我々、「教育における動物倫理を考えるネットワーク」は2003年3月7日から同年4月26日までに渡り、日本国内に存在する全16校の獣医大学を訪れ、「獣医学教育における動物実験(生体実習)代替法教材展示会」(以下展示会)を開催させていただいた。 先にあげたネットワークは学生、獣医師、医師、弁護士、会社員などにより構成され、現在勉強会及びメーリングリストという形式にて活動を展開中である。報告させていただく展示会は、その活動の一環として企画され、全国の獣医学科教員および学生等の協力により実現した。 展示した教材は、実際に海外の獣医学教育の場で使用されているCD-ROMやモデルマネキンなど全11点である。これらの教材は、国際的なネットワークであるInter-NICHE(http://www.interniche.org/)の貸与制度を利用した。 今回展示会を企画するにあたって、我々が伝えたかったことは以下の通りである。 1.代替法について正しく知ってほしい。代替法には動物を使わないものと動物を使うものがあり、通常その両方を混ぜ合わせた形が用いられる。動物を使う方法には実際の解剖や手術なども含まれる(倫理的死体やシェルター等での保護動物を用いる)。 2.今回の展示したサンプルは、あくまで全体のほんの一部であり、これを買って欲しい、欧米風にしたいということではなく、「こんな方法もある。」「こんな考え方もある。」ということを知った上で、では日本は、私達はどうするべきなのか、ということを考えるきっかけにしたい、というのが大きな目的である。 3.今,社会の動物に対する概念の変化に伴って、獣医学そのものにもいろいろな意味での変化が求められていると思う。 必ずしも、「こうするべきだ。」などという結論を持っていたわけではなく、ただ、自分達の葛藤を素直に認め、その上で、教員の方々や先輩達の考えを伺いたい、そしてもう一度、自分がどうしたいのか、何ができるのかを考えたい、という趣旨であった。 また、展示会では獣医学教育における動物利用に関するアンケート調査を行った。アンケート用紙は教員用と学生用の二種類を作成し、来場された教員および学生の協力により多数の回答が得られた。今日は各大学での展示会の様子、アンケート調査の結果報告を中心にお話させていただこうと思う。
|
2004 HARs 学術大会 |