ヒトと動物の関係学会(HARs)

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学術発表審査会報告

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第4回 学生院生学術発表審査会結果と総評
2008年1月12日(関西地区:大阪ペピイ動物看護専門学校)および2008年1月13日(関東地区:日本獣医生命科学大学)においてヒトと動物の関係学会4回目の学生院生学術発表審査会が行われた。審査員は学術委員および編集委員などで構成され、発表演題は関西地区8演題、関東地区16演題、そのうちの11演題が3月の大会での発表権を獲得した。また、奨励賞として1題が選ばれた。奨励賞は大会時の総会において授与式が行われる。

関西地区:大阪ペピイ動物看護専門学校

関東地区:日本獣医生命科学大学
 

奨励賞
犬の社会化期における人、特に子どもとの関わりに関する研究
 荒井さと(麻布大学大学院 介在動物学研究室)

大会発表権獲得(発表順)

@発達障害児を持つ母親とイルカ触れ合い活動(1) ―活動前後の母親のストレス変化―
植田有香(帝塚山大学大学院 人文科学研究科)

A子どもの対人関係認知がペットへの愛着に及ぼす影響            
光井麻理(ノートルダム清心女子大学大学院)

B小学校高学年の成長における馬の効果に関する研究
北川健史(麻布大学大学院 介在動物学研究室)

C補助犬ユーザーが抱えるさまざまな課題に関する研究
   〜犬と人とのコミュニケーションにおける人の接し方について〜
山本真理子(麻布大学大学院獣医学研究科介在動物学研究室)

D「犬の持ち込み試験」の確立および試験に合格する飼い主の犬との関係の分析
木内祐輔(帝京科学大学 動物介在システム研究室)

E江戸時代後期におけるネズミ飼育と奇品の産出―『養鼠玉のかけはし』を中心に―
安田容子(東北大学大学院環境科学研究科)

F戦没軍馬における祭祀の研究 ―近代日本の軍馬の社会的位置―
松崎圭(学習院大学日本語日本文学科)

GテレビCMにおける動物描写と人間の関係性
石山玲子(成城大学大学院)

H日本の大学における動物献体制度導入の提案
伊藤華奈子(帝京科学大学生命環境学部アニマルサイエンス学科)

I離乳前のハンドリングが離乳後の子ウマの行動および自律神経活動に及ぼす影響
武田知華(北里大学獣医学部)

J犬の社会化期における人、特に子どもとの関わりに関する研究
荒井さと(麻布大学大学院 介在動物学研究室)

◆総評◆ 学術委員審査委員長・帝京科学大学 横山章光
 「学生・院生のための学術発表審査会」も今年で四回目を迎え、定着してきた感がある。今年の応募演題は関西地区で8件、関東地区で16件、合計24件であり、例年に比して少なめだったが、審査員からは「レベルが上がっている」という感想が多く聞かれた。発表会後の審査員による得点集計と議論にて、上記の奨励賞1演題を含む本大会発表権利取得者11演題が選出された。以下、個々について評する。

奨励賞を獲得した荒井さんの「犬の社会化期における人、特に子どもとの関わりに関する研究」は、膨大な先行研究を整理して目的をはっきりさせ、シンプルな結果に強い説得力を持たせた。犬の社会化期に子どもと触れ合わせておくことがその後、子どもと触れ合う時の犬の心拍・行動の両面にどう影響するかを読み解いたこの研究は、今後のAAEなどの大きな礎になるであろう。
植田さんの「発達障害児を持つ母親とイルカ触れ合い活動」は、DAAを受ける子どもの保護者のストレスを、子どもの障害の程度から考察し、光井さんの「子どもの対人関係認知がペットへの愛着に及ぼす影響」は、飼育経験ではなく、子どもの家庭環境や積極性こそが、動物への愛着の鍵になることを示した。
北川さんの「小学校高学年の成長における馬の効果に関する研究」は、乗馬の揺れが前頭前野にポジティブに働いていることを示唆し、山本さんの「補助犬ユーザーが抱えるさまざまな課題に関する研究」は、犬へのコマンドが遅延することが犬の反応を鈍らせることを数値化し、木内さんの「「犬の持ち込み試験」の確立および試験に合格する飼い主の犬との関係の分析」は、公共の場に犬を持ち込むテストを主観から客観化させる試みに説得力があった。
安田さんの「江戸時代後期におけるネズミ飼育と奇品の産出」は、江戸時代中期のネズミ飼育入門書から、それらが当時の文芸活動にまでつながっていたという当時の動物観を読み解き、松崎さんの「戦没軍馬における祭祀の研究」は、戦没軍馬祭祀から人間と家畜の関係を、情緒的であるものの家畜の福祉につながらない問題点を指摘し、石山さんの「テレビCMにおける動物描写と人間の関係性」は、膨大なテレビCMの中の動物を役割によって分類してその意味を考察した。
伊藤さんの「日本の大学における動物献体制度導入の提案」は、それを導入するためには情報発信だけではなく日本人の動物観を考える必要があると説き、武田さんの「離乳前のハンドリングが離乳後の子ウマの行動および自律神経活動に及ぼす影響」は、人間がハンドリングしておくことが、離乳して親から離されるときの子馬のストレス軽減に役立つことを明らかにした。

今回は応募総数が少なかったにも関わらず、審査後に疲労感があったのは、それだけ確かにレベルが上がっていたためだと思われる。
審査委員長としての私の個人的な意見を少し述べさせてもらう(毎年述べているので、それらと合わせて今後の参考にしてほしい)。その発表が、先行研究と比して、何を「上積み」したのか、明確にしてほしい。それがどんなわずかなものでもいい。たくさんの人による「上積み」の積み重ねこそが、その研究分野を前進させていく。派手なものでなくても、驚かせるようなものでなくてもいい。確実に「何かを」上積みさせた手ごたえを、そしてその自信を、当日会場で朗々と謳いあげてほしい。
また、発表は10分しかない。その10分間で起承転結がきちんとなされなくてはならず、そのためには、やってきたことを全て言えばいいというものではない。自分ではなく、聞き手に理解させるのが、発表である。自分が言いたいことは何か、そして、その場で述べたいことは何か、それをまず、自らにはっきりさせなければ、聞き手が理解できようはずもない。

来年はいよいよ節目の5年目となる。この分野が定着するかしないかは、若い力にかかっている。定着するのであれば、この分野には未来がある。

学生院生学術発表審査会2008 プログラム
関西会場:2008年1月12日(土) 大阪ペピイ動物看護専門学校
  開催宣言と発表者への注意
時間
区分
プログラム 発表者
14:00-14:45 AAE 座長:奥野卓司(関西学院大学)
1) 幼稚園における『知識のワクチン』レクチャー活動報告
@園児に知ってほしいこと・伝えたいこと
橋本美穂
(大阪コミュニケーションアート専門学校)
2) 幼稚園における『知識のワクチン』レクチャー活動報告
A幼稚園の飼育動物に関する“手紙のやり取り”による指導の一例
新井愛美
(大阪コミュニケーションアート専門学校)
3) 小学校での動物飼育活動における教師の態度が児童へ及ぼす影響 小河優子(安田女子大学大学院 文学研究科 教育学専攻 臨床心理学コース)
14:45-15:15
AAA・AAT
座長:福岡今日一(イードッグ研究所)
4) 動物の介在によるヒトへのストレス軽減効果
―ストレス尺度とココロメーターを用いた分析―
山口翔
(大阪コミュニケーションアート専門学校)
5) 発達障害児を持つ母親とイルカ触れ合い活動(1)
―活動前後の母親のストレス変化―
植田有香
(帝塚山大学大学院 人文科学研究科)
休憩 15分
15:30-16:15 動物に対する心理 座長:若生謙二(大阪芸術大学)
6) 動物看護専門学校生は動物との関わりをどう意識しているのか? 近藤晴香
(大阪ペピイ動物看護専門学校)
7) ペットは飼い主に似る? 中平千絵子
(大阪ペピイ動物看護専門学校)
8) 子どもの対人関係認知がペットへの愛着に及ぼす影響 光井麻理
(ノートルダム清心女子大学大学院)
  閉会宣言と発表者への注意
関東会場:2008年1月13日(日) 日本獣医生命科学大学
時間
区分
演題
発表者
  開催宣言と発表者への注意
12:00-13:00
AAE
座長:信實洋介(CAC医療技術専門学校)
1) 都会・市街地・田舎での子どもと虫のふれあいについて 佐藤実香
(帝京科学大学)
2) 学級内飼育体験が児童に与える影響について
-特に共感性および向社会性に関する検討
伊藤諒
(帝京科学大学動物介在システム研究室)
3) 学級内飼育が児童に及ぼす影響について 田辺かえで
(帝京科学大学大学院 動物介在システム研究室)
4) 小学校高学年の成長における馬の効果に関する研究 北川健史
(麻布大学大学院 介在動物学研究室)
13:00-13:30
AAT
座長:新島典子(東京大学)
5) 保護者が考えるイルカ介在活動の効果とその可能性 斉藤幸子
(帝京科学大学 生命環境学部 アニマルサイエンス学科)
補助犬
6) 補助犬ユーザーが抱えるさまざまな課題に関する研究
〜犬と人とのコミュニケーションにおける人の接し方について〜
山本真理子
(麻布大学大学院獣医学研究科介在動物学研究室)
休憩 30分
14:00-14:30
動物に対する心理
座長:安藤敏孝(横浜国立大学)
7) 犬の「手作り食」の実態と飼い主の意識 山田良太
(帝京科学大学生命環境学部アニマルサイエンス学科)
8) 「犬の持ち込み試験」の確立および試験に合格する飼い主の犬との関係の分析 木内祐輔
(帝京科学大学 動物介在システム研究室)
14:30-15:15
動物観
座長:石田おさむ(帝京科学大学)
9) 江戸時代後期におけるネズミ飼育と奇品の産出
―『養鼠玉のかけはし』を中心に―
安田容子
(東北大学大学院環境科学研究科)
10) 戦没軍馬における祭祀の研究 
―近代日本の軍馬の社会的位置―

松崎圭
(学習院大学日本語日本文学科)

11) テレビCMにおける動物描写と人間の関係性

石山玲子
(成城大学大学院)

休憩 15分
15:30-16:00
動物福祉
座長:務川光彦(東急エージェンシー)
12) ペット遺棄に関する青森県民の意識調査 斉藤知尋
(北里大学 獣医学部)
13) 日本の大学における動物献体制度導入の提案 伊藤華奈子
(帝京科学大学生命環境学部アニマルサイエンス学科)
16:00-16:45
動物行動学
と人間
座長:加藤由子(フリーライター)
14) 離乳前のハンドリングが離乳後の子ウマの行動および自律神経活動に及ぼす影響 武田知華
(北里大学獣医学部)
15) マウスの学習能力に対するハンドリング刺激の影響について 成瀬淳
(帝京科学大学動物介在システム研究室)
16) 犬の社会化期における人、特に子どもとの関わりに関する研究 荒井さと
(麻布大学大学院 介在動物学研究室)
  閉会宣言と発表者への注意

第四回 「学生、大学院生のための学術発表審査会'2008」のお知らせ


 ヒトと動物の関係学会では、「学生、大学院生のための学術発表審査会」を一昨年度から実施しています。これは学生、大学院生等からの演題発表を審査し、学術大会の事前審査に代えるものです。口頭発表はもちろん、パワーポイントやビデオのみでの参加も受け付けます。審査を通過した演題は学術大会での発表権を得ることができるうえ、優秀な演題には奨励賞が与えられ、大会においても審査会同様の発表形式をとることができます。ちなみに過去3回の奨励賞の演目は

2005年 第1回奨励賞)「動物介在箱庭」から読み取れる児童の動物観について  
2006年 第2回奨励賞)子犬の行動テストで気質を調べられるのか
2007年 第3回奨励賞)肉用牛農家におけるジレンマと折り合い

でした。これまで、時間的・金銭的な理由で学術大会への参加が難しかった方、大会での学術発表には勇気のなかった方、当学会の試みにぜひご参加ください。学生と院生にのみスポットを当てた学術発表会です。発表会当日に発表者以外の方が聞きにいらしていただくことは、もちろん大歓迎です。数多く参加して議論に花を咲かせていただきたいと願っています。お待ちしています。
※ホームページには過去3回の発表会の詳細が載っていますのでぜひご覧ください。
  関西地区 関東地区
演題募集締め切り日 2007/12/21 2007/12/21
審査会開催日 2008/1/12 2008/1/13
審査会会場 大阪ペピイ動物看護専門学校
2F セミナーホール
〒537-0025 大阪市東成区中道3-8-15
http://www.peppy.ac.jp/school/access.html
日本獣医生命科学大学 
B棟3階 311講義室
〒180-8602 東京都武蔵野市境南町1-7-1
http://www.nvlu.ac.jp/012examination/examination04.html
(1週間以内に奨励賞と選抜優秀者10名前後がHP上で発表され、2008年3月22,23日に行われる学術大会にて発表する優先権が与えられます)

募集規定

1.演題投稿資格
投稿は学生(大学・大学院・その他教育研究機関)によるものとする。
本人もしくは指導者が本学会の会員であることが必要である。(当日入会可)

2.演題の内容
演題の内容はヒトと動物の関係に関するものとする。ヒトと動物の関係に関する研究、実践的報告など、ヒトと動物の関係の構築に寄与し、会員の相互啓発、議論の深化につながるものが望まれる。

3.演題投稿の方法
上記内容の演題を上記の締め切り日時までに学会ホームページ上のフォーマットにそって学術委員会までE-mailで申し込む。
※ご応募されましたら、後日受け取りのメールを送信いたしますので、必ずご確認ください。なんらかの不備等によりご確認できない場合は、事務局までお問い合わせください。

4.演題発表と審査
(1)演題発表
発表は1題10分、質疑応答は5分とする。

(2)審査委員会による審査
申し込まれた演題は「発表審査会」で発表され、審査委員会によって審議決定し、その結果は速やかに応募者へ連絡するとともに学会ホームページで公表する。

審査委員会は、学術委員会委員長(帝京科学大学・石田おさむ)を審査委員長とし、学術大会会長、編集委員会委員、学術委員会委員等を審査委員とする 。

5.学術大会への発表優先権
「学生、大学院生向け学術発表審査会」で発表し、それなりのレベルと認められた発表には、学術大会への発表優先権を授与する。

6.奨励賞
発表演題のうち、とくに優秀と認められた演題に対し、賞状および副賞を授与する。

以上をご理解の上、応募フォームへお進み下さい。
応募フォームは締め切らせていただきました
プログラム発表
※このプログラムは現在(07/12/23)あくまでも暫定的に順番等をお知らせするためのものです。
時間などが変更になる可能性がございますので、HPのチェックをお願いいたします。

投稿の問い合わせ
ヒトと動物の関係学会事務局
〒409-0193 山梨県上野原市八ツ沢 2525 帝京科学大学 理工学部 アニマル・サイエンス学科
TEL & FAX 0554-63-6957 E-mail:hars-info@hars.gr.jp

 

 
     
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