ヒトと動物の関係学会(HARs)

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シンポジウム報告

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ヒトと動物の関係学会
第8回 公開シンポジウム in KYOTO
 11月17日、抜けるような青空のもと、黄色く色づいた銀杏並木の下にたたずむ京都大学農学部大講義室において、約60名の方に参加を頂き、第8回公開シンポジウムが開催された。



会長挨拶  秋道 智  
 
第1部 十犬十色 −遺伝・環境論争を超えるために−
司会 井本 史夫(井本動物病院・横浜)
   
講演 村上 美穂(岐阜大学) イヌの行動特性に影響する遺伝子の探索
菊水 健史(東京大学) 行動を決める「氏と育ち」 −遺伝と環境の相互作用−
第2部 ウシはヒトにとって何なのか?
深い相互関係からアニマル・ウエルフェアを考える
司会 秋道 智彌 (総合地球環境学研究所)  
     
講演 福井 勝義 (京都大学) ウシとヒトの運命共同体 : 牧畜社会にみる生と死
石川 菜央 (名古屋大学大学院) 宇和島の闘牛 : 牛が作る人間関係
高田   勝 (進化生物学研究所) ヤンバル ヌ ウシ チカナヤーについて
(沖縄本島北部地区における牛飼い人について)
佐藤 衆介 (畜産草地研究所) 飼育管理技術の変遷 : 管理からコンフォートへ
     
総合討論    
     
閉会挨拶  森 裕司(東京大学)  

 第1部では「十犬十色−遺伝・環境論争を超えるために−」というテーマで、岐阜大学の村山美穂先生と東京大学の菊水健史先生が、それぞれ『イヌの行動特性に影響する遺伝子の探索』『行動を決める「氏と育ち」−遺伝と環境の相互作用−』と題して講演された。
村山先生は、ポジショナルクローニングやPCRなどの分子生物学的手法を用いて、行動制御に関わる遺伝子のひとつドーパミンD4受容体に焦点を当てて、動物種間や犬種間で比較検討した研究について発表された。特に、犬種間の行動特性とからめた比較は非常に興味深いものであった。
菊水先生の発表は、周囲環境、特に早期離乳がその後の行動に与える影響について、攻撃行動に焦点を当てて行った実験についてであった。人はどうしても一番かわいい時期から手元におきたいと思いがちだが、犬の社会性の確立や成長後の行動を考えて適切な時期から飼育することが、人と犬のいい関係を築くうえで重要なことであるということを改めて認識させられる話だった。行動を制御する遺伝子に関する研究が今後ますます進展することを期待し、我々はもうひとつの因子である環境を整え、さらにもっと多くの人に情報を提供する必要があるだろう。

 第2部は「ウシはヒトにとって何なのか? 深い相互関係からアニマルウェルフェアを考える」のテーマのもと、4人のシンポジストの話をうかがった。福井勝義先生(京都大学)は、「ウシとヒトの運命共同体:牧畜にみる生と死」と題して、一人ひとりが自身の色と模様を持っており、それを表象するウシと自身を同一化する、エチオピア西南部に暮らすボディ族とウシの関係について発表された。彼らにとってウシは乳や燃料としての糞をもたらすだけでなく、観念や精神的にも非常に深く結びついたものであり、まさしく我々の想像を超えるものであった。石川菜央先生(名古屋大学大学院)には、「宇和島の闘牛:牛が作る人間関係」という題で、闘牛の担い手である「牛主」「勢子」「ヒイキ」の闘牛を介して作り出される人間関係についてお話いただいた。高田勝先生((財)進化生物学研究所)は、「ヤンバル ヌ ウシチカナヤーについて(沖縄本島北部地区における牛飼い人について)」と題して、沖縄の牛飼育の歴史から現在の状況について、ウシチカナヤーである御自身の体験をふまえての話であった。口蹄疫やBSE問題、現代の生産体系のなかで、農家レベルでの工夫こそが生き残る道であるとの話であったが、そこに本学会を通して科学的裏付けをすることができればと思われた。佐藤衆介先生(畜産草地研究所)は、「飼育管理技術の変遷:マネージメントからコンフォートへ」と題し、日本におけるウシの飼育方法の変遷の歴史と、人間が主体の飼育環境管理、マネージメントから、苦痛や不快を感じない、つまりコンフォートに重点を置いた飼育環境の重要性についてお話いただいた。

 秋道智彌先生(ヒトと動物の関係学会会長)の司会で行われた総合討論では、闘牛とアニマルウェルフェアについて盛んに議論された。おそらくこの問題に答えを出すのは非常に難しいことである。歴史や文化をふまえ、闘牛に限らずヒトと動物の関係について建設的な答えを導くことが出来るよう、さらに盛んに討論する場を設ける必要があると思われた。


 
     
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