ヒトと動物の関係学会(HARs)

会員登録内容変更 | トップページへ戻る
HARs活動 | HARs関連機関の活動 |
過去の大会報告 | 事前登録 | 演題募集 |
学会誌一覧 | 学会誌購入 | 投稿 | 投稿規定 |

月例会報告

small logo
   

 

第87回 ヒトと動物の関係学会 月例会
「ペットロス―自助グループからの報告―」

日時: 平成23年7月16日(土) 14:00〜16:00
場所: 東京大学農学部 7号館104号室
演者 梶原葉月(Pet Lovers Meeting代表)

 

 今回の月例会は、Pet Lovers Meeting代表の梶原葉月さんをお招きした。梶原さんは、愛猫ゴマちゃんの治療のために通っていた時の通院仲間とともに自助グループPet Lovers Meetingを設立され、2000年にペットを失った悲しみを語る会であるミーティングを、2003年にはミーティングに参加できない方のために電話でのサポートを開始された。また、東日本大震災をきっかけに、震災によりペットを失ってしまった方たちのために2011年6月末よりメールサポートも開始されている。
「ペットロス」という言葉の定義はいまだあいまいであるが、愛する対象を失ったときに感じる悲しみは、当然起こる心の反応であるといわれている。当然の反応であるため、まるで病気のような表現である「ペットロス症候群」や「ペットロス」になってしまったというのはおかしいと梶原さんは話す。ペットの喪失によって起こる反応は当然の反応であるが、社会の中では「公認されない悲しみ(Disenfranchised greif)」とされている。
ペットを失った方に対し、言っていいことと悪いことがある。例えば、「たかが犬のことで」などの言葉かけは、悲しみの過小評価であり、発言者の知識のなさの表れであると梶原さんは話す。一方、「きっと天国で見守ってくれているわ」などの励ます言葉かけも悪いこととされている。では、なぜいけないのか。会場からは「自分とその子の関係は他の人にはわからない」という意見があがった。重要なのは、その人にとって納得のいく別れかただったかということであり、常識的に正しいと思われることでも相手の心に届かないこともある。何を言えば正しいor間違っていると一方的に決められるものではなく、何を言うかではなく、どう聴くかが重要になるという。その人とペットの間には様々な物語がある。あるひとつの出来事であっても、様々な意味づけによって多様性があることを認め、その経験は語ることによって書き換えができるものであることを知っておくことも重要である。
Pet Lovers Meetingはペットを失った方たちのためのセルフケアグループである。梶原さんはセルフケアグループであるPet Lovers Meetingの役割を「物語をつむぐ場を提供し、相手に寄り添うこと」としている。その際、@指示しないA評価を下さないB相手を尊重することが大切としている。話す相手や話すタイミングは相手が選ぶ。もし、相手が話せる時がきたら「聴ける」準備があることを伝えることがペットを失った人に対する援助になるという。時には、自分は何もできないと感じることもあるかもしれない。しかし、「Not doing but being.(することではなく、そばに在ること)」が大きな助けになることもあると梶原さんはまとめた。
講演終了後、会場からは言葉の定義や動物種に関する様々な質問や意見が飛び交った。会場であがった質問や意見は、ペットの喪失を考える上でうやむやにしてはいけないことである。しかしなによりも、「愛するものを失った悲しみ」は誰にでも起こる通常の反応であることと認識すること、自分の基準でものを考えるのではなく相手を尊重することが重要と強く感じた。梶原さんもおっしゃっていたが、社会の中でフォローできるのならセルフケアグループはいらなくなるのではないか。しかし、話してもわかってもらえないことはある。これだけペットブームの日本においても公認されにくいのがペットを失った悲しみである。サポートの選択肢のひとつとしてPet Lovers Meetingがあることは、ペットを失って悲しんでいる方たちにとって心の支えになるであろう。

(アニマルクリニックこばやし 藤田典子)



 
     
About Us | Privacy Policy | Contact Us | ©2008 Human Animal Relations (HARs)