ヒトと動物の関係学会(HARs)

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月例会報告

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第79回 ヒトと動物の関係学会 月例会
『狸の日本史』

日時: 2010年5月15日(土) 14:00−16:00
会場: 東京大学農学部 7号館104号室
発表: 中村禎里

 

 昨年の「河童」に続き、今回は「狸」というテーマで中村禎里先生にお話いただいた。
私たち日本人の「狸」に対するイメージは変わってきている。たとえば、「かちかち山」。私たちが知っている「かちかち山」のお話は、@爺さまと婆さまをからかったことによって「狸」は捕まってしまう。→A「狸」は婆さまをだまして殺し、婆さま汁を作り爺さまに食べさせる。→B爺さまと仲のよかった兎に「狸」が懲らしめられる、といった内容ではないだろうか。この話の流れは3つの段落に分けられており、「狸」の性格がコロコロと変わっている。しかし1600年に書かれた「むじなの敵討」ではAの部分だけが強調されていて、Bの部分は欠落している。1700年代になって書かれた「兎の大手柄」においてBの部分が加わるのである。
  古代・中世初期の日本では、「狸」は野猫または山に住む異様な動物と考えられており、室町時代あたりになるとしだいにタヌキまたはアナグマを指すようになっていったと先生はおっしゃった。また、文献に出てくる「狸」の性質は、江戸時代前期まで凶悪なものが多いが、後期になるとまぬけなものになってくる。先に記した「かちかち山」も当てはまる。
  佐渡、四国などではタヌキ信仰があるという。元来農耕神だった稲荷が時代に応じて第二次・第三次産業の守護神として認識されていくなか、キツネがほとんどいない四国ではキツネの代わりにタヌキが祀られたと考えられている。また、修験者によって祠が造られたとも言われている。山から来る修験者の姿はたぬきなどのような存在としてみられることもあり、この祠の造立をきっかけに、キツネの代わりのタヌキ信仰が大流行したのではないかと考えられている。佐渡においても、四国と同じように山から海岸に降りてきたところに社が分布して存在する。
  日本人にとって比較的馴染みのある野生動物である「狸」。凶悪に記される「狸」とまぬけな「狸」。キツネがいないから代わりに祀られた「狸」。
昔の人たちが見ていた「狸」と現代の「タヌキ」。そこには大きな違いが存在する。
(帝京科学大学大学院 アニマルサイエンス専攻2年 藤田典子)



 
     
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