ヒトと動物の関係学会(HARs)

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月例会報告

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第72回 ヒトと動物の関係学会 月例会
『昆虫食先進国ニッポン』

日時: 2009年6月27日(土) 14:00−16:00
会場: 東京大学農学部4号館104室

講師:
野中健一(立教大学文学部教授)

 6月4日、虫の日。『虫』。イナゴ、さざむし、スズメバチ。これら『虫』の共通点。それは、食べられている昆虫である。
  現在、「昆虫食は世界的にブームである」と今回の月例会の後援者である野中先生はおっしゃった。昨年のFAOや国際昆虫学会、今年韓国で行われた学会等で、昆虫食について取り上げられている。また、日本でも様々なイベントが開催されている。なかには『虫』を食べることを芸にしている芸人さんまでいるそうだ!
  世界では1500種以上の『虫』が食べられている。料理の仕方は様々で、おつまみにしたり、主食だったり、おやつだったり。日本でも全国で『虫』は食べられていた。もちろん現在でも食べている。
  イナゴ。日本で最も食べられている『虫』で、北海道を除く日本全国で食べられていた。生きたまま乾煎りしたあと、足や羽をとってから味付けする。長野のほうでは取った足をすって味噌と混ぜておかず味噌にするそうだ。しかし、このイナゴ、昔は大量にいたものの1970年代ごろから農薬によって激減した。その後、稲作制限によって使われない田んぼができたことで少しずつ回復してきたものの、現在では中国からの輸入が多いという。
  クロススメバチ。これもまた広く日本で食べられていた。クロスズメバチは地中に巣を作るため、餌でおびき寄せて目印をつけて巣穴を探す。煙幕で燻し、攻撃を弱めてから巣を掘り起こす。この巣ごと持ち帰るのだが、この時働きバチと女王バチを残す。この残す作業は、条件は厳しいものの再生の可能性にかけて行っているそうだ。また、見つけた巣が小さかった場合働きバチや女王バチも連れて帰り、家で飼育する。天然物の巣が大体1kgくらいなのに対して、大きいものでは7kgに育つものもある。「採る」と「食べる」の間には「手間」というキーワードが存在する。偶然見つけた巣を採ってきたものより、手間を掛けて育てた巣のほうが、手間を掛けた料理を作ると野中先生はおっしゃった。巣を飼育する地域では、ハチノコをすりつぶして五平餅のタレに混ぜる食べ方もある。この五平餅、サミットなどですぐ完売してしまうほどとてもおいしいらしい。
他にもオオスズメバチ、さざむし、セミ、アリなどが様々なところで食べられていた。しかし、イナゴやスズメバチなどは現在、多くが輸入されている。もともと食べない地域で『虫』を採り、加工し、日本へ送ることは「技術移転」になる。しかし、『虫』という「資源の枯渇」でもあると野中先生はおっしゃった。昔から『虫』を食べてきた「昆虫食先進国ニッポン」。『虫』を採る人たちは、ハチを追う際に目印に配慮するなど、環境について考えながら採っている。それをいただく私たちも、『虫』を取り巻く環境なども考えながら食べていかなくてはならないのだと思う。
講演後、野中先生がみなさんにイナゴやさざむしなどを振舞ってくださった。生まれて初めてイナゴを口にした。おいしいのだと思う。しかし形が。イナゴの形がくっきりしている限り、私は『虫』を食べられないと思った。
昆虫食に興味がある方は東京大学出版から出されている『民俗昆虫学』や2009年9月に出版予定の『虫はごちそう!』(両方とも野中健一先生著)を是非お手にとって見てみてはいかでしょうか。

(帝京科学大学大学院 アニマルサイエンス専攻 1年 藤田典子)



 
     
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