ヒトと動物の関係学会(HARs)

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月例会報告

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第65回 ヒトと動物の関係学会 月例会
『ヒトと動物の境界線をアートする〜合成ペットを巡る冒険』
日時: 2008年10月25日(土) 14: 00〜16:00
会場: 東京大学農学部4号館104室

講師:
プリュンヌ・ヌーリー 造形作家
パリ造形技術専門学校Ecole Boule(エコール・ブール)修了

今回の月例会はいつもと違った雰囲気だった。
講義室に入るとそこには一つのベビーカー。そこにはヒトの赤ちゃんでも子犬でもないものがいた。それを造ったのが今回お話してくださった造形作家のプリュンヌ・ヌーリー先生である。

『ヒトと動物の境界線はどこにあるのか』それがプリュンヌ先生の研究テーマである。
ベベ・ドメスティック・・・日本語に直訳するならば家庭で飼われる赤ちゃんとなる。べべ・ドメスティックは人間と犬の胚を50%ずつ組み合わせたもの、つまり『ハイブリッド胚』を想定したものであり、人間を犬に似せているわけでも、犬を人間に似せているわけでもないとプリュンヌさんは言う。このベベをブリュッセルなどの街中につないでおき人々の反応をみる。子どもは『笑う』か『質問』のどちらかに分かれるという。
そしてもう1つ、看護師の格好をした女性がベベを乗せたベビーカーを押して街に出て行き、そこで養子縁組をする。養子縁組と日本語にしてしまうと戸籍に入れるように取れるが、ここでは家庭に迎え入れるという意味で用いている。

養子縁組といってもただ渡すわけではない。希望者に申込用紙に様々な内容を記入してもらい、その中から本当に望んでいる人を選び、渡すのだ。選ばれる基準は『父・母がいる。』『責任感・信頼性』などである。そして、1年後ベベが家族の中でどんな位置に存在するのかデータを取っていく。男性のほうが女性よりも『命あるもの』として感じているように思えた。子どもを産めるからこそ女性は動物とヒトの『ハイブリッド』に対して距離を置いてしまうのだろうか。

そこで疑問がうまれた。養子縁組をした家族の多くが「もう1人子どもが欲しかった。」と言った。それならなぜ、人の子を引き取らないのか。ベベを受け入れるのは世話を焼いたりする手間がかからないからなのだろうか。
そしてもうひとつ気になったのは、プリュンヌ先生の中でベベはただの作品でしかないのか、それとも子どものように命こそないが生き物として考えているのか。ビデオの中で帽子を被せている家族がいた。子どものお古の洋服をあげる家族もいるそうだ。私ならマフラーやポンチョを着せてあげたいと思った。

2009年春、プリュンヌ先生のこのプログラムが日本に上陸する。ペットとの関係が親密である日本人は一体どういう反応を示すのであるのか。そして、どれほどの人が欲しいと思うのだろうか。私はこのベベをすんなり受け入れられて愛着までわいた。持って帰っていいのなら持って帰れるくらいである。しかし、「全く愛着もわかないし怖い」という意見もある。同じ女性、日本人と言ってもこれほど個人差がでる。その差はなんなのであろうか。
ペットが人間化してきている現代社会において、人と動物の「ハイブリッド」は受け入れられるのだろうか。非常に興味深いところである。

(帝京科学大学 アニマルサイエンス学科 4年 藤田典子)



 
     
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