ヒトと動物の関係学会(HARs)

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月例会報告

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第53回 ヒトと動物の関係学会 月例会
「変わる動物園」−広がる指定管理者制度−
日時: 2007年2月17日(土) 13:00〜17:00
会場の様子1 会場の様子2
会場: 東山動物園動物会館
目的:  社会の変革に伴い、制度の見直しが様々な形で進められている。動物園・水族館においてもこうした動きは見られ、東京都立の動物園(上野動物園・多摩動物公園・井の頭自然文化園・葛西臨海水族園)をはじめいくつかの動物園では、指定管理者制度が導入された。指定管理者制度とは、公の施設の管理について民間事業者等の参入を可能とするもので、平成15年6月の地方自治法の改正にもとづくものである。これによって、施設の管理について創意工夫ある企画や効率的な運営を推進し、利用者の多様なニーズに応え、質の高いサービスの提供を図り、効果的・効率的な管理運営を目指そうというものである。
今回の研究会では、動物園の変化をこうした制度という側面から眺め、施設運営への影響のみならず、展示・教育といった観客へのサービスあるいは地域との関係への効果ということに関して検討することを目的とする。施設固有の問題も多々含まれると考えられるので、演者としては動物園の規模を大きく3段階にわけ、各規模からの状況を報告してもらい、それをもとに議論を進める予定である。
プログラム:
13:00〜13:40 指定管理者制度とはどんなものか  概説:石田おさむ
13:40〜14:20 事例発表 1 横浜ズーラシア 原久美子
14:40〜15:20 事例発表 2 盛岡市動物園 辻本恒徳
15:20〜16:00 事例発表 3 東京都(上野、多摩ほか) 石田おさむ
16:15〜17:00 総合討論  

 名古屋市・東山動植物園内の動物会館で行なわれた例会は、あいにくの雨。そういえば昨年12月に実施された大阪天王寺動物園の見学会も雨だった。なんでじゃ?ま、いいか…。
今回のテーマは動物園に興味のない人には、やや難しい内容ではあった。というのも、「地方自治法の一部改正にともない、公の施設の運営管理主体が、管理委託制度から指定管理者制度に変わった」と言われても部外者には何のことやらわからないからである。指定管理者制度を理解する前に「そもそも管理委託制度って何?」、「これまで動物園の運営管理は誰がやっていたの?」となるからである。そこで簡単にまとめると、公立の動物園や水族館のほとんどは、外郭団体や公共団体が管理を委託されてきた。それが管理委託制度である。改正後の指定管理者制度では、株式会社を含む民間事業者が管理運営をすることもできるというもの。いわゆる民営化で、それによって創意工夫のある企画や効率的な運営を推進し、質の高いサービスを目指そうというもので、養護老人ホームや図書館、体育館、公園などもその対象になっている。
発表では、すでに指定管理者制度を導入した動物園の事例として盛岡市動物園の場合を辻本恒徳氏が、横浜ズーラシアの事例として原久美子氏が、そして東京都の動物園の事例として石田おさむ氏が報告を行なった。いずれの園も、これまで管理運営を行なっていた団体が引き続き指定管理者になっているものの、期間が決められていることや予算の問題など、将来が見えない部分もある。辻本氏は「野生生物の調査など地域貢献という戦力を駆使し地域に必要な施設としての定着を目指すことで生き残りを果たしたい」と述べ、石田氏は「職員のモチベーションにつながることを希望する」と述べたが、原氏は「専門家集団を必要とする動物園に指定管理者制度はなじまないのではないか思える」と懸念を示した。総合討論では、会場から飼育現場で働く人から「雇用に関する不安を感じる」という意見が多く出た。
指定管理者制度に以降する中で動物園は一体、どう変化していくのか。近年、動物園は生涯教育の場として、また自然保護を推進する施設として大きな進展を見せているが、それがより伸ばされていくのか、それとも萎縮せざるを得なくなるのか。動物園ファンとしては注目したいところである。(編集委員・加藤由子)


 
     
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