ヒトと動物の関係学会(HARs)

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月例会報告

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第50回 ヒトと動物の関係学会 月例会
『犬と日本人』
日時: 2006年9月2日(土) 14:00〜16:00
会場: 東京大学農学部7号館A棟104号教室(地下鉄南北線「東大前駅」徒歩1分)
プログラム:
講演 中村禎里(元立正大学)
中村禎里氏 会場の様子
 
     

 残暑が厳しい中、30名以上が集まり、第50回ヒトと動物の関係学会の月例会が東京大学農学部で行なわれた。今回の講演者は、『日本人の動物観 −変身譚の歴史』の著者である元立正大学の中村禎里氏だ。日本人にとって犬はどのようなものであったのか・・・歴史上の寓話なども交えながら楽しい話が進められた。
まず、犬は存在状態により、狼、山犬、野犬、村犬または街犬、拘束または愛玩犬と呼び方が様々であった。野犬が山に住めば山犬と呼ばれ、狼との区別は曖昧であった。また、街や村で野犬が飼育されると街犬や村犬と呼ばれるので、これも区別が難しい。拘束飼育された犬については、古代以来20世紀初期まで少なく、主に狩猟犬や、唐犬のように獰猛な警備の役割を果たす犬のみであったそうだ。
日本での人と犬の関係の歴史をたどると、犬の利用方法は警備、狩猟にはじまり、警備のための利用に由来する異常察知能力の利用、それを発展させた破耶呪力の利用、愛玩、食用、犬追物など多く挙げられる。中村氏は、それぞれの役割に犬が使われたと思われる最古の資料を紹介した。例えば、かの有名な『日本書紀』に、「人文小麻呂(あやしのおまろ)が攻められた際、飼育していた犬が抵抗した」と記されていることから、712年には犬が警備として利用されていたことがわかる。また、縄文時代の犬の埋葬方法が人と同じであることや、弥生時代の銅鐸に犬と人でイノシシを射止める図がのこされていることから、それらの時代から犬は狩猟としての役割を担っていたこともわかる。他にも、仏教の教えを一般市民にわかりやすく伝えるための寓話、日本人が犬を食べていた事実、スポーツとしての犬追物等の話があった。近年、犬は愛玩としての役割が大半を占めているが、713年頃成立した『播磨国風土記』の中での犬にすでに固有名詞がつけられていたこと、さらに徳川綱吉が狆を室内で飼育していたことなどから、日本でも犬は時に愛玩としての役割を果たしていたこともわかる。
質疑応答では、講演会に参加していた東京大学の林良博氏からの話もあり、非常に内容の濃いものとなった。日本における人と犬の歴史は欧米よりも浅く利用方法も異なるものの、古くから日本人と犬は共に生活してきたことを再認識し、また、人と犬の関係を研究していく上では「日本人と犬の歴史」に関する知識は必要不可欠であると改めて感じた。


 
     
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