ヒトと動物の関係学会(HARs)

会員登録内容変更 | トップページへ戻る
HARs活動 | HARs関連機関の活動 |
過去の大会報告 | 事前登録 | 演題募集 |
学会誌一覧 | 学会誌購入 | 投稿 | 投稿規定 |

月例会報告

small logo
   

 

第49回 ヒトと動物の関係学会 月例会
『つむじから見る牛の個体差』
日時: 2006年7月8日(土) 14:00〜16:00
会場: 東京大学農学部7号館A棟104号教室(地下鉄南北線「東大前駅」徒歩1分)
プログラム:
司会 石田おさむ(多摩動物公園)
安部直重氏 会場の様子
 
     
講演 安部直重(玉川大学農学部 生物環境システム学科)

 第49回月例会では、牛の旋毛(つむじ)と個体差というユニークなテーマのもと、20名余の参加者が集まった。管理性と旋毛がどのように関係するのだろうか、と好奇心にかられる中、阿部氏の講演が始まった。
牛はもともと農用家畜として、主に食糧生産性を追求して飼育管理されてきた動物である。そして近年、高密度で多頭飼育をし、集約化されたシステムが普及してきた。このような管理状況になることで、個々の家畜と管理者との接触が極めて希薄となり、管理者の個々の家畜に対する認識も不足してきている。
今回阿部氏は、牛の扱いやすさの改善という観点で、家畜行動研究の領域から、@馴致処理が牛の扱いやすさに及ぼす影響、そしてさらに、この講演のメインテーマである、A個々の牛が生まれながらに持っている性質を、外部形態、特に旋毛(過去の研究で、馬の気質・学習能力と旋毛の位置の関連性があると考えられている)から知ることは可能かという研究について話を進めた。
@馴致処理することで忌避反応性、人との逃避反応距離において改善が見られるが、それに伴い、人に対し頭突きや頭を擦りつけるといった模擬闘争行動が発生する。模擬闘争行動の発生頻度は個体差が大きく、少発群と多発群に分けると、少発群においては馴致後も行動の発生頻度はあまり変化しないが、多発群においては増加がみられた。
A牛の旋毛の位置、形状、個数を調査し、対人反応と誘導性といった行動特徴との関連性を調査した。旋毛位置が上部でかつ中央部に位置する個体は、人為的操作に対し強く反応することが示され、牛同士の社会的干渉も旺盛なことが示唆された。こうした特徴はストレス研究における積極的行動タイプである可能性があり、生理学的な反応性も高い可能性が窺えた。しかし、本研究において旋毛と血漿中の指標物質との関連はみられなかった。交雑種においては旋毛位置上部の個体は、人為操作に対する反応性が強く、舌遊び行動の発生頻度が高かったことから、流通・飼育過程において特に注意を要し、ストレス負荷を緩和する対応は必要と考えられた。これらの牛は敵対行動発生頻度、社会的順位が高いことから、群管理においても要注意個体と考えられた。旋毛下部の個体は、対人反応性の結果から、ストレス負荷条件下での管理適応度が高いと推測され、扱いやすい個体であると考えられた。対人反応性においては、品種間での気質差異が示唆され、遺伝的要因が関与の可能性が窺えた。さらに、交雑種の対人反応は旋毛位置と強い関連性があると思われ、日齢、性も関与していた。旋毛の形状と気質の関連性については調査中である。
質疑応答では、他の動物の旋毛、旋毛と遺伝子の関係の可能性といった、今後の研究の発展につながるような質問が多く寄せられた。今後、この旋毛という外部形態から動物の気質をある程度把握できるようになれば、畜産業においても大変有用性が高いと考えられ、さらなる研究が期待される。


 
     
About Us | Privacy Policy | Contact Us | ©2008 Human Animal Relations (HARs)