ヒトと動物の関係学会(HARs)

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月例会報告

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ヒトと動物の関係学会
第33回 月例会
日本鶏を学ぶ 久連子鶏(熊本県)とチャーン(沖縄県)
 2003年5月16日、東京大学農学部にて開催された。今回の月例会は日本鶏とそれににまつわる地域独自の伝統がテーマであった。当日はあいにくの雨模様となったが琉球古典音楽奏者の独唱もまじえ、和やかな雰囲気で進行された。


松崎正治氏


今村安孝氏


伊計光義氏


1)18:00〜18:10  挨拶 (正田陽一)
2)18:10〜18:40
 松崎正治(熊本農業センター畜産研究所)
  −久連子鶏について
3)18:40〜19:10
 今村安孝(肥後チャボ保存会常任理事)
  −久連子踊りについて
4)19:10〜19:45
 伊計光義
  −チャーンと人との関わり
5)19:45〜20:00  自由討論(森裕司)

   

 冒頭にて、正田陽一先生の挨拶から始まり、松崎正治氏(熊本農業センター畜産研究所)および、今村安孝氏(肥後チャボ保存会常任理事)によって地域につたわる伝統文化を久連子鶏の点から口演は始まった。これに続き、チャーンの点からは伊計光義氏(沖縄県チャーン保存委員会会長)によって口演が進行した。途中、伊計氏の口演では二曲の沖縄古典独唱を生演奏でお聴かせ頂いた。

松崎氏は、熊本県・八代群・泉村の久連子集落に古くより飼育れ、親しまれている在来鶏、「久連子鶏」の美しい体型とその遺伝形質を主として口演された。この久連子鶏の形態的特徴は地鶏型と小国型の中間にあり、体重はオス2.3kg、雌1.8kg、鶏冠は小さな角状冠または小突起状の冠である。くちばしの基部に「鼻孔突起」のあることも特徴的で、羽色は美しい銀笹である。しかし、この久連子鶏が世に発表されたのは比較的最近のことであり、独自の鶏であるとの判明から天然記念物へと動いてきた。さらに、口演は今村氏に引き続き、この久連子鶏をテーマにこの地方に約300年前から踊り告がれてきた久連子古代踊りの話題となった。久連子鶏の銀笹を使った花笠(シャグマ)がこの踊りに使われ、このシャグマについて細部にわたり発表された。実はこのシャグマ、中にはおしべめしべを象った正確な花飾りがあり、また馬の尾の黒い毛を放射状に張っている。これをかぶって踊る久連子古代踊りは、昔は遠い都への切々たる思いを込めてお盆行事として太鼓をたたいたそうである。そしてその昔唯一の楽しみであった踊りは、現在約80歳の方々には受け継がれているが、後継者不足が問題点であると締めくくられた。

 沖縄県チャーン保存委員会会長である伊計氏はウテードゥイ(チャーン)と人ととのかかわりについての口演であった。沖縄の鶏たちはヂードゥイ(琉球地鶏)そしてファードゥイ(雑種鶏)など多くの品種が戦争によって絶滅してしまったが、チャーンは愛好家によって保護された。激戦下、沖縄県北部山中に避難場所を求め逃避行の日々でありながら、チャーンをカマスに包み保護し、自らも苦しく大変な暮らしの中に鶏を愛する心を大切にした志伊良正明氏のエピソードからこの鶏の保護が始まった。そして、病床の友のために鶏を枕元においた銘刈氏の話、そして、様々に伝わる鶏にまつわる言葉は心の癒しと活力源となってきたと話され、さまざまな逸話を残したこの鶏に強い思いを示された。生演奏でお聴かせ頂いた琉球古典音楽であるチャーンの謡はまさにこの地方に独特なものであった。このような地域に根付き、伝統を残し、多くの愛好家をもつチャーンは日本の中でもとりわけ親しまれた動物なのであろう。伊計氏は人と動物の関係の中で、人と鶏との関わりをどうするかということも考え、今後もチャーンの保護をやっていこうとしている。
様々な地域伝統の中、受け継がれる動物とそれに関わる人達、そして後継者に悩む現状。日本における人と動物の関係の原点、多く論じる必要性があるだろう。


 
     
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