ヒトと動物の関係学会(HARs)

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月例会報告

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ヒトと動物の関係学会
第32回 月例会 公開市民講座
  〜 猫 〜
 2月8日、当学会において平成15年度初となる月例会が、約80名の方の参加をいただき麻布大学百周年記念ホールにて開催された。今回の月例会は題名の通り「猫」がテーマであったが、犬やその他の動物との関係も多く議論されるものであった。



コーディネーター  加藤 由子 (動物ライター)
1) 猫が嗅いでいるもの
 小暮 規夫 (小暮動物病院)
2) 感じる匂いと動かす匂い
 森 裕司(東京大学大学院農学生命科学研究科)
3) マルタ島の猫たち
 新美 敬子 (写真家・エッセイスト)
4) 観光と猫
 宮田 勝重 (宮田動物病院)
5) 猫の下部尿路疾患
 坂根 弘 (日本ヒルズ・コルゲート株式会社)

   

 コーディネーターに動物ライターの加藤由子先生を迎え、小暮動物病院院長の小暮規夫先生は、「猫が嗅いでいるもの」と題して口演された。 小暮先生は、その導入に犬と猫の順化と移動経路、そして日本における猫の歴史を発表された。「ねこ」という名の語源、さらに多くの写真を用いて猫の描かれる日本古来の絵や版画の紹介をされ、その中には日本の鎌倉時代において貴重な動物とされた猫が紐を付けた状態で飼育されているといった興味深い記録を紹介された。また猫の示すマーキング行動とそれに関わるフェロモン、そして受容する鋤鼻気管について説明された。解剖学的にも猫そして犬における口腔内の鋤鼻器開口部をご自身で撮影されており、フェロモンとその受容についての概要が明確なものであった。
東京大学大学院農学生命科学研究科・森裕司先生は、「感じる匂いと動かす匂い」と題し、動物における匂いの確認と情報交換の重要性について、さらに行動学そして脳神経伝達の分野から説明をいただいた。またその内容には動物のみならず人においてのフェロモンによるコミュニケーションに関する実験結果も紹介され非常に興味深い内容であった。フェロモン刺激が扁縁系や視床下部とった情動本能に関わる脳部位に直接的に作用するという非常に明解なものであった。

 写真家でありエッセイストである新美敬子先生には「マルタ島の猫」と題して、地中海のほぼ中央、シチリア島南方にある島における猫と人との関係をご自身の撮影写真にて紹介された。写真を撮りながら犬、そして猫と人との関係を考察されている新美氏は、このマルタ島に何度も訪れており、猫の多いマルタ島の歴史とその背景を口演された。そして猫おじさん・おばさん・おにいさんが何人もいて、いわゆる野良猫に食事を与えており、猫とのよりよい共生関係が遙か昔から築かれていることを口演された。
また宮田動物病院院長である宮田勝重先生には、「観光と猫」と題し、"ヨーロッパ"の語源発祥地とされるクレタ島、そしてアテネにおける猫そして犬の存在と、観光との関係を実際の来訪記とその写真でお話し頂いた。アテネのアポロポリスにも当然のごとく猫がいて、全て避妊手術が施されている。またクレタ島の猫は観光客でにぎわう夏は食事を得ることが出来るが、観光客が来ない冬は猫にとって辛い時期であり、命を落とす猫が後を絶たない。またアテネのような都市でなく、田舎であるこの土地には避妊の概念が無く、どんどん増えては冬の時期に次々に命を落としていく。こうした人と猫との関係も存在することを発表された。

 日本ヒルズ・コルゲート株式会社の坂根弘先生は、「猫の下部尿路疾患」と題し、猫の食事と水そして尿路疾患との関連性について発表された。尿の濃縮能が高い猫は、飲水量が少ないと尿路結石、下部尿路疾患の原因となる。栄養素としての水の重要性、猫は犬のようには水を飲まない習性をもつことから、一般飼い猫の食事となるドライフードとウェットフードの水分含有量とその与え方を教示された。またドライフードの塩分を増加させることが、飲水量増加させることに違いないが、高塩分の問題も伴うため、単にその嗜好性から塩分増加の危険性と共に、ウェットフードを与えることの重要性を発表された。特に高齢猫やそのリスクを持つ猫に対する水分の不足に注意を促し、飼い猫と食事との重要な関係について口演された。

 加藤由子先生(動物ライター)の司会で行われた総合討論では、猫と人との関係、また犬との関係、フェロモンに関する話題と聴講者の質問は様々であったが、猫という題材を基に全ての先生方は様々に議論は展開され、盛んに討議された。身近な猫の存在はさらに我々と良い関係となるよう、今後も"ねこ"を題目としたさらなる討議を続けていく必要性も感じられた。


 
     
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