ヒトと動物の関係学会(HARs)

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月例会報告

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ヒトと動物の関係学会 秋季シンポジウム・第115回 例会
精神疾患を持つ人における動物の役割

時 間: 2017年11月25日
場 所: 東京農業大学大 世田谷キャンパス1号館113教室


コーディネーター 山本真理子 帝京科学大学アニマルサイエンス学科 助教
登壇者 
・西川日向子(あいわクリニック スタッフ・帝京科学大学卒業生)
在学中に高齢者施設でのAAA(動物介在活動)に関わる。
・稲垣光紗(あいわクリニック スタッフ・帝京科学大学卒業生)
精神保健福祉士
・横山章光(あいわクリニック 院長)  
国立医療センターなどの病院勤務を経て、帝京科学大学にて12年間教鞭を取る。現在は臨床現場に戻り、あいわクリニックを設立。


 平成29年11月25日、第115回月例会が東京農業大学世田谷キャンパスにて行われました。今回のテーマは「精神疾患を持つ人への動物の役割」です。
 まず、山本真理子先生(帝京科学大学)から開会の挨拶をいただき、今回の月例会の意義を説明していただきました。精神疾患を持つ人が多い現代社会において、動物介在療法がもたらす効用は大きいと考えられます。しかし一方で、盲導犬を始めとする補助犬には法律が制定されていますが、療法に用いられるセラピードッグに関してはなにも法律が制定されていません。目に見える身体的な障がいだけではなく、目に見えない精神的な障がいにもフォーカスすべきであると指摘されました。また、本シンポジウムでは、登壇者だけではなく聴講者にも意見を出してもらい、セラピードックと精神疾患患者の関係性について皆で考えていきたいと述べられました。
 最初に、西川日向子さん(あいわクリニック スタッフ)に、「精神医療現場での気づき」というテーマでご登壇いただきました。あいわクリニックの所在地や綺麗な内装を説明していただき、実際の精神医療の現場の雰囲気を感じ取ることができました。患者の年代やバックグラウンドなどの多様な要因を考慮することの重要性を述べた上で、来院時は暗い表情をしていた患者が、帰る時に表情が和らいでいる姿をみて、クリニックの効果を実感しているようです。
     続いて、稲垣光紗さん(あいわクリニック スタッフ)にもご登壇いただきました。稲垣さんには、福祉とは何か、うつ病や統合失調症とは何か、そして動物とこのような疾患患者の関わりについてまとめていただきました。動物の、特に犬が持つ「人を選ばず誰に対しても平等に接することができる」という気質的特徴は、このような精神疾患患者の精神的な支えや安定に大きく繋がるといいます。一方で、動物福祉にもフォーカスし、患者の症状が悪化した際に動物の世話が疎かになってしまうネグレクト問題や、患者が入院した際のペットの世話の責任の所在が不明瞭になってしまう点なども指摘されました。
  最後に、横山先生(あいわクリニック 院長)にご登壇いただき、精神医療の現場についてのお話をいただきました。精神疾患を抱えた人がペットを飼育している場合の、多頭飼育問題やネグレクト問題などについて言及し、動物との関わりの難しさや課題点を指摘しました。また、実際の診療現場における動物の役割を説明する為に、C.L.Fの高部敏充さんとコーギーのEN(エン)君に来ていただき、デモンストレーションを行いました。犬を連れた患者さんが散歩のついでに訪れるパターン、病院の診療室に犬が常駐しているパターン、病院の受付に犬が常駐しているパターンなどの多様な場面を想定し、それぞれでの場面で犬がどのような役割を持つのかについて考えました。犬は直接的に患者に効用を与えるだけではなく、犬と患者の関係性から患者の状態を推測したり、患者が医師に対して抱く心理的障壁を取り払ったりする役目も果たすことが分かりました。また、会場の参加者からも積極的な意見が出ることで、非常に有意義なディスカッションとなりました。
     今回の月例会は、実際の診療現場に携わる方の生の声を聞くことができた、非常に貴重な体験でありました。また、実際の現場を想定してのディスカッションは、今後の動物の持つ効用や臨床現場での役割を明確に認識し、今後のさらなる発展に繋がる思考を広げる為の良い機会となりました。

永澤巧(東京農業大学)
ヒトと動物の関係学会常任理事 内山秀彦(東京農業大学)


 

 
     
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