ヒトと動物の関係学会(HARs)

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月例会報告

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第108回 ヒトと動物の関係学会月例会
アニマル・スタディーズと新しい西洋史研究−背景・方法・展開−

時 間: 2015年9月26日(土曜日)14:00-16:00
場 所: 東京農業大学 世田谷キャンパス 1号館 1階 113教室
講演者: 光田達矢(慶應義塾大学 経済学部 専任講師)


 第108回月例会は慶應義塾大学の光田先生による、「アニマル・スタディーズと新しい西洋史研究−背景・方法・展開−」という題目でご講演いただきました。講演では人文社会科学における新しい学際分野である「アニマル・スタディーズ」という考え方について、その背景と理論、都市史、科学史における歴史と展開についての3点についてご説明していただいた後、今後のこの分野の課題と応用可能性について結論としてお話しいただきました。
 アニマル・スタディーズは欧米を中心にここ20年で発展した考え方です。従来においてはポストモダニズム的な言語に依存した考え方が根底にあり、「どうぶつ」を「動物」という社会的、文化的につくられた存在として認めることで歴史や人の認識のうちに入るという考え方をします。人文社会科学分野では「動物」への学術的関心が低く、その反省から「動物」として動物を見つめなおすアニマル・スタディーズが出発しました。
例えばマネの「ロンシャンの競馬場」を研究するとき、美術史や社会史、経済史の観点から絵を見るのではなく、アニマル・スタディーズの観点から「馬」に注視し、ウマ社会の中の競馬の存在や、ウマが移動手段や労働力として使われていた社会での建築・道路への影響について、騎手の台頭と勝率等の数字社会についてを研究することができます。
アニマル・スタディーズの理論はジャック・デリダ、ジョルジョ・アガンベン、ドゥルーズやガタリらの考え方をもとに、従来の考えとは異なる動物への親近性や人間という主体の非主体性などに注目し、人間と動物の関連性を対立関係から延長線上に転換することで西洋史を今一度振り返るというものです。さらに近年の言語化に頼らないポストヒューマニズムへの転換にあわせその注目度は上がっており、ポストヒューマニズム型アニマル・スタディーズという段階に進んでいます。これは歴史学において人間が動物との関係の中で不安定な状態、境界作りの葛藤が見られる部分を切り取って考える手法であります。具体的には、都市史において19世紀都市での家畜やペットの増加とともにペストが台頭することによる規律化や境界作りの葛藤が生まれる瞬間を捉えたり、科学史における人医と獣医の境界を研究したりすることで境界領域への接近が可能であると考えられます。
今回のご講演を通して、今まで触れてこなかった人文社会科学分野のものの捉え方を学ぶことができたと考えます。今回の光田先生のご講演すべからく理解しお伝えすることは大変難しいですが、動物関連の論文等あらゆる書物のなかで著者の考え方も大いに意識すべきであると感じました。こうした考え自体が欧米からでた発想であるとのことであり、日本においても本分野が広まり国際的な議論の場で発言することで、さらに多角的なアニマル・スタディーズが発達するのではと考えます。

(東京農業大学 金子さくら, 内山秀彦)


 
     
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