ヒトと動物の関係学会(HARs)

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月例会報告

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第103回 ヒトと動物の関係学会月例会
『護るために殺す?アフリカに於けるスポーツハンティングの「持続可能性」と地域社会』

時 間: 2014年10月4日(土)14:00〜17:00
場 所: 東京農業大学世田谷キャンパス1号館111教室
講演者: 安田章人(九州大学基幹教育院)


 今回の第103回月例会は、九州大学の安田先生による「護るために殺す? アフリカに於けるスポーツハンティングの「持続可能性」と地域社会」であった。安田先生はアフリカにおけるスポーツハンティングの「持続可能性」と地域社会について報告され、世界とアフリカにおける現状、保全のモデルシフト、狩猟批判について、スポーツハンティングについての擁護、カメルーンでの狩猟、歴史関係などを自身のご研究をもとにまとめたものだった。
なかでも、カメルーンでのスポーツハンティングについての報告は特に興味深かった。約200年前から牧畜民によって支配されてきたX村、Y村の農耕民たちは2000年当時、9年後に両村のある土地が狩猟区(マナ狩猟区)になることを知らなかったという。この事実は2009年の直前になるまで知らされておらず、合意形成の欠如が見られY村は強制移住させられることになった。実は狩猟区設定過程には歴史的権力構造があり、事業主であるスペイン人とカメルーン政府が意思決定機関であり、その下である村長たちは意思決定ができなかったという結末であった。
狩猟区となった地域住民たちは伝統的な狩猟方法(銃を持ちいてはならない)でしか狩猟をしてはいけないとされ、住民の生活基盤・主体性が壊された。スポーツハンティングは野生動物保全と地域発展を両立させ、地域社会に「ユートピア」を創造すると評価するものであった。しかし、今回の調査地では偏重した「持続可能性」、地域住民と野生動物の関わりを断ち切り彼(女)らを「ディストピア」へ陥れた「魔剣」であると評価した。
本来、地域社会へ良い結果をもたらす筈だったスポーツハンティングが持続可能な、科学的な資源管理を行うことができないことによって、悪い結果へと導かれてしまった点もある。一方でアフリカ諸国では、“自然保護”の名の下に行われた圧政に対する抵抗が起きたが調査地では起こらなかったという事実もある。これは住民にとって貴重な現金獲得源、政府にとって貴重な外貨獲得源であったのが理由でwin-winの関係だった。

 利益を求める国や企業に人生を左右されるのは社会的に力の弱い庶民であり、金銭面以外でも豊かに生活できる仕組みを考える必要性が感じられた。スポーツハンティングでは論理面での批判は避けられないが、では肉として食べている動物は殺しても良い命なのか、それぞれの命を比較という結論の出にくい問題にも今後は焦点を当てていくべきである。

 護る為に殺されていたのは実は動物たちだけではなく、アフリカの弱い地位の人々であり、歴史的にみても植民地支配が影響力を改めて実感せざるを得ない。

ご興味をもたれたら、以下、先生の著書をお読みいただければ思う。
安田章人 著「護るために殺す?アフリカにおけるスポーツハンティングの「持続可能性」と地域社会」(株式会社 勁草書房)

(報告者:近藤亮太(東京農業大学3年), 内山秀彦)



 
     
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